Vol1. 2010年2月 河瀬 智文さん 芸術工学部7期生


電動工具メーカー  プロダクトデザイナー
株式会社マキタ

河瀬智文

7期生 生活環境デザイン学科 平成17年度卒業
大坪牧人 研究室

-現在のお仕事は?

以前は自動車のアフターパーツやレーシングカーの制作会社にいたんですが、
去年転職して、今は電動工具のデザインをしています。

仕事内容はスタイリングはもちろんですが、
使い心地や使い勝手など、ユーザビリティを大切にして考えています。
例えば草刈り機の背負い心地を常に研究している人たちがいたりするんですよ。
企画、設計、生産技術など、いろんな人とチームを作りながらひとつの製品を作っています。

-どのように仕事を覚えましたか?

パンフレット

パンフレットを見せてもらいながら、工具の形の作り方を丁寧に教えていただきました。

僕は中途採用だったので、入社1カ月後には「これできる?」といきなり仕事でしたが、仕事の基本的なノウハウは前職で少しは身についていたので、工具っていうもののデザインに慣れていきました。

機構や機能について設計者に尋ねたりと人から聞くことが多かったです。
会社の中での事は会社の人が一番やわかっているし、人から聞くと聞いたこと以上の情報が入ってきます。他社製品を見て勉強します。「こんなことしたい」と思えば、似た機能のものを探して勉強し、その上で自分ならこうしよう、と考えます。

-私は企画の仕事に興味があるのですが、企画をするにはどうすれば?

もちろん企画がしたいって言えばいいです。
ただ、商品を知らないとできないこともあると思います。
前職では提案することもありましたが、組織が大きくなってくると専門の人がいるので、
いきなり企画と言わず、営業や設計、デザインを経験してからでもいいのではないかと思います。
あとはタイミング。就職や仕事って結構、運が大事だと思います(笑)。

-就職活動のアドバイスをお願いします。

マキタの製品

マキタの製品は、電動工具から写真のような機械まで多岐に渡るのですね

プロダクトデザインやるなら、まずカタチがつくれることが必要ですね。その上で、ちゃんとコミュニケーションができることが大切だと思います。質問の意図を理解していないとかはダメ。必要なことを聞き出したり、伝えたい事、自分はどんな事を考えているのかを確実に伝えられる技術を身につけてください。

就活の前に、どんどんインターンに参加した方がいいと思います。ポートフォリオや実習だけじゃなく、インターンのときに選考をする企業もこれから増えていくようです。気になる企業やデザイン事務所とかあれば積極的に問い合わせてみたらいいと思います。僕は企業のネームバリューにばかり気にして就活してたりしました(笑)。それはだめですね。

-学生のうちにしておくべきことは?

馬鹿をしておくべき!(笑)。
考えるのにもいい期間だし、会社に入ると選択肢が狭められたりするから、
いろいろやっておくといいと思います。
芸工は分野が広いから、違う分野のプレゼン聞きにいったりしてもいいし。
僕らのときは今みたいに卓展みたいなのが無かったので、
3、4年生になるとコンペに出したりしていました。
先輩の卒制の手伝いで、夜11時から作業したりもしましたね。

-学生のときと今とで、考え方は変わりましたか?

インタビュー風景

2時間程度のインタビューで、会社のことから学生時代のことまでたくさんのことをアドバイス頂きました。

学生のころはメディアにいっぱい出てくるような華やかな個人のデザイナーに憧れていました。でも今はどちらかというと縁の下の力持ちというか、あまり人の目にはつかないけれど社会貢献ができるようなデザイナーになりたいと思っています。

今の会社で魅力だと感じるのは、いろんな部署の人とさまざまなものを作っていけるということ。組織としての力というものもありますしね。考え方だけではなく、作業の進め方も変わりました。やっぱり考えるところに時間をかけたいので、作る手法をどれだけ短縮できるかを工夫するようになりました。今なら学生のころ苦労したスピードシェイプも、デザイン含めて4日あれば作れると思います。

-河瀬さんにとってデザインとは?

難しいけど、人の心を熱くするものかな?
気持ちを動かすものなんだなとおもいます。
(って、川崎先生の受け売りみたいになっちゃってますけど(笑))

社会に出てみて、デザイナーの地位が低い分野まだまだあると感じます。
戦略的にデザインをプロデュースしていきたい。
だから、これから「それで行こう」って言える立場になって、
自分の思うデザインができるようになりたいですね。

インタビュアー

山下 咲衣子

13期生(平成20年度入学)デザイン情報学科

プロダクトデザイン志望

―インタビューの感想―

プロダクトデザイナーを目指すにあたって、とても勉強になりました。
自分が今なにをやるべきなのかしっかり考えていきたいです。
とても楽しかったです。


One thought on “Vol1. 2010年2月 河瀬 智文さん 芸術工学部7期生

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