アパレル系 グラフィックデザイナー
株式会社マグネット長谷川 麻衣
6期生 視覚情報デザイン学科 平成16年度卒業
森下良三 研究室
-仕事について教えて下さい。
株式会社マグネットというアパレル系の会社でデザイナーをしています。アパレルメーカーさんから依頼を受けて、そこのブランドの商品を生産、管理するOEMの仕事と、デザイン画などをメーカーさんに売る企画の仕事をしている会社です。
私は、子どもから大人まで、洋服は全部デザイン経験があります。子ども服の定番ものから、10代・20代のギャル系とかナチュラル系、アメカジとか古着っぽい感じのものとか。いろんなお客さんから依頼が来るので幅広く描けるようになりました。
一つのアパレルメーカーにいたら、そのブランドのテイストとか世界観になってしまったり、
カットソー・ニット・布帛(ふはく)で担当が分かれたりするんでしょうけど。
私は、広く浅くだけど、いろんなことができるようになったのはよかったと思います。
やっていくと、自分が着ないギャル系が一番得意なんだとか分かってきました。
あ、こういうの売れそう、っていうのが分かるんですよ。
ひとりよがりにならずに、ここのお客さんが着るかなとか、そういうのが一番大事だと思います。
-デザインをされる際、どんなことを考えるのですか?
どんな人が買うのか、いつ店頭に出てそのとき何が流行っているか、そういうことを考えています。しっかりとやるときは、1カ月ごとにテーマを決めてやっていくことも。あと、先月出したものと合わせられるようにして、ずっとそのブランドで着こなせるようにもしています。
服飾業界では一応トレンドが決まってて、みんなパリコレとかミラノコレクションとかを参考にしています。今年の春はD&Gを見てウエスタンが流行ると思うんだけど、そのまま真似しても着づらかったり、リアルじゃない。自分たちのお客さんがこういう子だからこう着せるんだとか、それぞれのブランドが自分たち流にアレンジしていかないと。
トレンドだから押さえないといけない“見せる商品”もあって、
去年のナポレオンジャケットとかがそう。
お店の雰囲気を今っぽくするためにやるんです。
商品は見せる商品と定番とその中間のものとがありますが、
今はユニクロがあるので、定番がなかなか売れなくなってきてます。
デザイナーをしていてうれしいのは評判が良いとき。
知らない子が着てるのを見たとか、雑誌に載ったとか。
パリス・ヒルトンが着てたときは、会社でキャッキャとはしゃいだりしました。
-情報はどうやって収集されるんですか?
お店見に行くといっぱい情報が入ってきます。
例えば、前の方に置いてあると売れてるんだとか、
次の週に行って一番下にあるとちょっと売れ行き悪いんだなとか。
あと店員さんとしゃべったり、その辺歩いてる子の服見たり。
企画するのは半年くらい前なので、ちゃんとストックもしておかなきゃいけなくて。
私の場合は、雑誌はあまり注目して見てないんだけど、
かわいいなと思ったらどんどん雑誌を切り抜いて、自分のネタ帳に貼っておきます。
-アパレル業界に就職するにはどうすれば?
会社にもよるんですけど、学校は全然関係ない。
ファッションの専門学校を出て、ある程度の知識があると思っていても、
実際は就職してから学ぶことがほとんどなので。
やる気があって素直でがんばってくれる人がいいですね。
やり方とか仕組みも会社によって違うから、
学生のうちは思いっきり楽しめば良いと思います。
好きなことが絶対何か役に立つと思うから。
あとは、服飾系で何をやりたいかですね。
パタンナー(型紙を作る人)なのか、テキスタイルデザイナーなのか、
ファッションデザイナーなのか。グラフィックっていう分野もある。
パターンナーならCADを使うけど、デザイナーはあんまり特殊な技術はいらないですね。
あと、マーチャンダイザーって呼ばれる商品化の全体を見る人がデザイナーよりも上にいます。
-学生時代はどんな風に過ごされましたか?
大学2年生の時から企画会社でアルバイトをしてて、そのときに広告やDMとかのグラフィックをやってました。あと洋服のプリント柄をやったり。
卒業制作の提出前3カ月間はずっと学校に居ました。シルクスクリーンをやって、家にはお風呂に入るために帰って、寝るときは森下さんの研究室にベッドがあったのでそこで(笑)。
-最後に、長谷川さんにとってデザインとはなんですか?
自分も人も喜ばせ、笑顔にするようなもの!
気持ちを動かすものですよね、やっぱり。
森島先生のお別れ会(最終講義)のときに、
一人ずつに色鉛筆をくれたんですけど、
そこに先生作の詩みたいのがあって。
「素敵な色鉛筆を持ったら、
それを入れる上質な筆箱が欲しくなって、
それが手に入ったら次はそれを入れる素敵なかばんが欲しくなって、
かばんを買ったら、次はそのかばんに合う服が欲しくなった。」
とか書いてあったんですよ。
それを見て、あぁ、こういう服を作れたらいいなって。
その人に気に入ってもらえて、
その詩の中に登場できるような服をつくれたらな、って思いました。
インタビューワ
稲垣 裕美子
13期生(平成20年度入学)デザイン情報学科
Webデザイン志望―インタビューの感想―
終始笑顔でお仕事のことを語って下さった長谷川さんにとても魅力を感じました。
大学を全力で楽しんで、自分らしい作品の作り方や
表現の仕方を学んでいきたいです。
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