Vol16. 2012年5月 林 典子さん 芸術工学部8期生


株式会社ケイ・ウノ
宣伝広告係

林 典子

8期生 生活環境デザイン学科 平成18年度卒業
山口良臣 研究室

―林さんの仕事について教えてください。

ジュエリーの販売やデザイン・制作をしている会社の宣伝広告係で、プレス(広報)や販売企画をしています。
具体的には季節ごとのフェアや雑誌広告の企画をするのですが、先日担当した女性雑誌のタイアップ記事では、雑誌編集者と誌面構成を考えたり、モデルの撮影に立ちあったりと、良い経験をさせていただきました。ブライダルイベントのブースデザインをすることもあります。いかにお客様に楽しんでいただけるか作戦を立て、ディスプレイはもちろんブースのレイアウトや色味、入口の形などをデザインします。
また、販促物やショップ袋、ジュエリーケースなどのディレクションをして、社内のデザイナーと話し合いながら作ることもあります。自分でIllustratorなどを使って制作をするわけではないですが、意外に芸工らしいことをしていますね。

―林さんはどのような学生だったのですか。

私たちの頃は今よりも実習の選択が自由でしたので、プロダクトやグラフィック、映像など色々な科目に取り組んでいました。もちろん実習も楽しかったのですが、課題に黙々と一人で取り組むよりも学校祭のようにみんなで企画してつくり上げることの方が魅力を感じていました。新入生歓迎会やクリスマス会を企画して走りまわっているのが好きな学生でした。

―そうした経験から仕事を選んだのですか。

就職活動では、自分が本当にやりたいことが始めはわからず、自己分析をしたり色々な業種のことを調べたりしていました
就職活動って恋愛みたいなもので、相性があったら受かるって聞きますよね。だから受かったところが運命の場所なんだろうって、たくさんの会社の説明会に行きました。でも、始めは選考を受けていてもどこかピンとこない会社ばかりで、そういう会社は結局落ちてしまっていました。そして夏を過ぎても内定が貰えず焦り始めたころに、ケイ・ウノに出会いました。
就職情報サイトに掲載されているたった3行の会社説明の文章を見て、ここだ!って。ビビビっと来てすぐにエントリーボタンを押しました。

ケイ・ウノは主に結婚指輪などのオーダーメイドジュエリーの販売をしているので、「一人ひとりのために世界でひとつだけのデザインをする」という考えに共感したのだと思います。お客様の一生に一度の宝物探しのお手伝いがしたい!と、当初は接客業で入社しました。
ところが入社のタイミングがちょうど宣伝広告係を立ち上げる時期と重なり、1カ月間接客業を経験したあとに今の配属先に異動となりました。

―もともとは接客希望だったのですね。

林さんの指輪

林さんがケイ・ウノでつくったオーダーメイドの指輪、とってもかわいかったです。口頭で伝えたイメージを社内のデザイナーと職人が形にしてくれるそうです。


学生の頃に3年間スーパーで接客のアルバイトをしていましたし、人と話すことが好きだったので。宣伝広告に異動してからも、一度だけ接客に戻りたいと悩んだことがありました。
でも、宣伝はお客様が私達のブランドを知る最初の扉なんですよね。接客しながらお客様の幸せな顔を見たいと思っていたのですが、宣伝広告係ではお客様の来店されている数を見れば自分たちの想いが伝わったことが分かります。そういうことに携わることができるのは、とてもありがたいことだし、やりがいを感じます。お客様と直接話す機会はなくても、社内の先輩や後輩、社外の業者の方々と話し合い、アイディアを出し合う機会も多いので楽しんで仕事に取り組むことができています。

今は入社して6年が経ち、プロモーションチームのリーダーという立場を任され、後輩も増えました。そうなってくるとマネジメントといいますか、チームのことも考えなくてはならない立場になります。最近では、周りのスタッフの夢を叶えつつ、一番効率よくスタッフみんなのパワーを引き出すためにはどうするべきかを考えるようになりました。
今は後輩のイキイキしている顔や、頑張っている姿を見られることが本当に嬉しいです。先日も少し大きめの仕事を任せた新入社員が、報告会で泣きながら「辛いことを乗り越えた」という話をしてくれて、本当に良かったなと感じました。

―仕事をする上で、何か気をつけていることはありますか。

健康管理には気を遣っています。私がピリピリしていたり、疲れて元気がなかったりすると、きっと後輩は困っていても、私に相談しにくいですよね。オフィスの空気は上司が作るものだと思うんです。私自身も新入社員だった頃、先輩に声をかけてもらったり、ちょっとしたことにメッセージをくれたりしたことが、とても励みになったことを覚えています。だから、元気に挨拶をしたり、お昼休みに話しかけたりして、みんながホッとできるような雰囲気づくりをしようと心がけています。
学生時代よくしていた徹夜も絶対しないですね。仕事では、いかに時間内にクオリティの高いものを仕上げるかが重要だと思います。

そして仕事は仕事、仕事が終わったらプライベート、としっかり分けています。プライベートでは会社ではできないこと、例えば、情報を取り入れる時間として使うようにしています。街に遊びに行っても、素敵な看板やディスプレイを探したり、楽しい買い物ってなんだろうって考えたりするように意識しています。

―逆に社会人になってからも学生のころと変わらないことはありますか。

「来てくれた人を楽しませたい」それは学校祭や新入生歓迎会の運営のときも、今の仕事でも変わらない想いです。そして、各担当者がバラバラだと何もいいものはできないので、役割を分担して進行状況を見て…。皆で足並みを揃えることの大切さは変わらないですね。

それから、学校の授業でプロダクトを作るにしてもポスターを作るにしても空間をデザインするにしても、社会やそれを使う人のことを考えてデザインしますよね。私は今雑誌を作ったり、ネットに載せる言葉を選んだりしていますが、やはり同じポイントを意識しています。どんな仕事をするにしても、社会や人のためを考えなくてはいけないと思っています。

―学生時代にしておくべきことなどありますか。

とにかく多くの人と話すことをお勧めします。先輩後輩問わず、バイト先の店長でも、他学部の子でも。人と話すといろいろな考え方に触れられるし、自分の持っていない情報を得られますよね。それってとても得だと思うんです。学生のうちにできるだけ価値観が異なる人たちの話をたくさん聞いて、視野を広げていって欲しいと思います。
たくさん吸収できる時期ですので、色々な世界を見て、就職をしてからの視野を広く持てるように準備できるといいですね。その方が人生、楽しく過ごせるのではないでしょうか。

私は結構人見知りなのですが、意識して人としゃべるようにしています。人事部にも商品開発部にもよく足を運びますし、やはりお客様の声を聞くことが大事なので店頭スタッフにもよく電話します。
それに店頭スタッフが商品に対して、「わっ、かわいい!」って盛り上がって愛情を持つことが出来なければ、その良さをお客様に伝えることは難しいと思います。だからよく店頭に行って、どうしたらもっといい商品ができるか、どんなフェアがあったら楽しんでもらえるかと尋ね、みんなの意見を吸い上げながら企画をしています。その方が店頭のスタッフも押し付けられている感じがしなくて「自分達で作り上げている」感が出ていいですよね。自分も参加しているので愛着が沸くし。そういう対話から生まれたものは、デザイン云々ではなく、お客様の喜びにつながります。

―もうすぐ社会人になる学生にアドバイスはありますか。

雑誌の記事

女性雑誌のタイアップ記事。編集者の方と商品の大きさやモデルのポージングなどの相談をしながらつくったもの。


最初の1年は辛いことも多いと思います。覚えることがいっぱいあるし、会社からの信頼を構築する時期ですしね。「あの子はどんな能力があるんだろう」って試されてように感じることもあるかもしれません。でもそれって逆に言うと、先輩や上司にアピールできるチャンスでもあります。頼まれたことを着実にこなしたり、積極的にコミュニケーションを取ったりして、信頼されるスタッフになることが大切だと思います。

2年目は1年目で得たことを死に物狂いでやって、自分のモノにしていく時期だと思います。3年目になると仕事も一通り出来るようになり、冷静に将来のことを考えるようになって「この仕事でよかったのかな」と悩む人も多いと思います。実際に私の友人の中にも、そういった人がいました。でも簡単に「こんなはずじゃなかった」と諦めるのではなく「この状況は何か問題なんだろう」「どうしたら乗り越えられるかな」と考えてその時期を乗り越えてみてください。いつの日か、とても成長している自分に気づきますよ。

学生と社会人は様々なことが違います。環境が変わるということは誰にとってもストレスです。たくさん悩んで、たくさん泣いて、しっかりと仕事と向き合ってほしいと思います。

インタビューワ

竹森佳奈
12期生(平成19年度入学)デザイン情報学科

―インタビューの感想―
林さんはお仕事のお話を楽しそうに、生き生きと語ってくださって、とても格好良かったです。
仕事仲間への気配り、仕事にかける熱意等、いろんなことを考えながら組んでおられる様子が伝わって来ました。
インタビュー中にも集団で作り上げることが好き、とおっしゃっていましたが、そのためにたくさんの努力をされているのだと感じました。
自分も林さんの仕事に対する姿勢を見習っていきたいと思いました。


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