メンバー投稿記事一覧
Vol8. 2010年7月 島 麻絵さん 芸術工学部3期生
島 麻絵さん
3期生視覚情報デザイン学科 平成14年度卒業
水野研究室/溝口研究室 (卒業制作:水野研/卒業論文:溝口研)
社会福祉法人わたぼうしの会 たんぽぽの家 スタッフ
—芸術工学部からどのようにして福祉業界へ就職されたのですか?
学外のアート系のワークショップで「障害のある人と働いている」
という人に出会ったのが最初のきっかけです。
その方は、授産施設(就労が難しい障害者に就労の場や技能取得を
手助けする福祉施設)で働いており、その時はちんぷんかんぷんで、
介護をイメージして大変そうとしか思いませんでした。
しかし後日、その施設の手織りの展示を見に行くと、障害のある人がつくったマフラーや、
スタッフがつくった人形など、おもしろいものがたくさんありました。
その時にこういう仕事があるんだと知り、その後、「なごやボランティア・NPOセンター」で
「たんぽぽの家」という社会福祉施設の資料を見つけました。
アートサポーターやボランティアの募集のほか、メンバー(障害のある人)と一緒に
銭湯に行こうという企画もあり、おもしろそうな施設だなぁと、4年生の冬に
見学しに行きました。自己紹介のために、課題をまとめたものと、
在学中にサークルで毎月発行していた「カヤバ一揆」というフリーペーパーを
持っていったところ、対応してくれたスタッフの方が、興味を持ってくれました。
何度かたんぽぽの家に通ううちに、「CHIRORI」という雑貨店を紹介され、
アルバイトを始めることになりました。
—福祉にそのような関わり方があるのですね。CHIRORIとは具体的にどのようなお店なのですか?
全国の福祉施設でつくられた、陶芸、手織り、木工などの手づくり雑貨や食品を扱うお店で、障害のある人が働いています。1996年に、「まほろば・楽市・楽座」という、奈良町界隈(CHRORIがあるエリア)のギャラリーや空き店舗で施設の商品を大々的に展示販売するイベントがはじまり、その流れでCHIRORIが誕生しました。当時、福祉施設の商品は、地元のバザーでの販売が主流であり、まほろば・楽市・楽座は画期的だったと聞きます。
私自身は、CHIRORIで、商品のセレクトや通信やチラシの制作などをしていました。全国にはものづくりをしている施設が
たくさんありますが、障害のある人がつくったものを面白いと思い、発信していこうという意欲のあるスタッフがいるかどうかで、商品も変わってくるといえます。
ところで、CHIRORIでは、芸工の近くにある「うえの授産所」のカップも取り扱っていました。
芸工生のときにそこのバザーに行ったことがありましたが、
障害のある人の働く場所であるということに気付きませんでした。
特にこの分野は接点がない人は全く知らないということがあるので、
もうちょっと気軽に歩み寄ることができるといいなぁと思います。
いきなり障害のある人と接するとなったら、最初は緊張感やためらいがあると思うけど、
きっかけとして“もの”というのは入りやすいですよね。
—いつたんぽぽの家のスタッフになられたのですか?また、たんぽぽの家はどのような活動をされていますか?
CHIRORIは2007年にたんぽぽの家と事業統合しました。
その際にCHIRORIのアルバイトからたんぽぽの家の正職員になりました。
たんぽぽの家でのメンバーの活動は、絵画、陶芸、手織り、カフェ、ショップ、企画部など、
多岐に渡ります。たんぽぽの家では、メンバーひとり一人に希望を聞きながら、
本人にあった働き方を提案し、プログラムを作成します。
また、たんぽぽの家は障害のある人自身の夢を実現、個性をのばすという考え方を持っており、
それはスタッフに対しても生かされているので、決められた仕事ばかりではなく
自由にアイディアを出して考えていけます。
たんぽぽの家の特徴として、作品展やセミナーなど、外に向けた活動が多いことがあげられます。
年に1回「アート化セミナー」といって、福祉施設のスタッフに向けた、
施設でのアート活動や商品化に関するセミナーをやっており、
全国から関心のある人たちが集まってきます。
また、海外からのお客さんも多く、去年は韓国のアーティストがたんぽぽの家に
1ヶ月以上滞在し、メンバーと一緒に制作しました。
本当に色々な人とのつながりが生まれやすい職場です。
7月23日から31日には、可児市文化創造センターで、
「エイブル・アート展」が開催されます。
たんぽぽの家のメンバー他全国の障害のある人の作品が展示されますので、
ぜひお越しください。
−おもしろい企画ばかりですね。現在はスタッフとしてどのようなお仕事をされていますか?
CHIRORIから始まった経緯もあり、今でも、福祉施設の商品を扱う仕事をメインにやっています。CHIRORIの他、イベントや商業施設での販売の機会も多く、場所に応じた商品をセレクトしたり、企画などもします。その他、たんぽぽの家を含む3つのNPOが共同でやっているエイブルアート・カンパニー(以下、カンパニーと表記)にも関わっています。この事業の目的は、障害のある人のアートを仕事につなげることです。作品を使いたい人と障害のある作家の間に立って仕事の仲介をしています。障害のある人の作品をデジタルデータ化して、それらを企業に貸し出し、著作権使用料を得ています。
窓口がはっきりすることにより、企業はアクセスしやすく、作家に対して適切な対価が支払われるようになりました。
—例えばどのような依頼がきますか?
アパレルメーカーより、ジャマイカというテーマで
描き下ろしをしてほしいという依頼がありました。
カンパニーが間に入って作家の体調やスケジュールの調整をしました。
依頼に応えられないタイプの作家であれば断ることもありますし、
作家をバックアップしている施設に相談しながら、情報を集約してお客さんに伝えたりもします。
スタッフは現場を体験してきているので、施設や作家の状況もよくわかります。
—話は変わりますが、研究室を悩んでいる子が多くいます。どのように研究室を選べばよいかなど、アドバイスはありますか?
私は水野先生がやっている現代音楽、実験的な音楽に興味があり、先生のキャラクターが好きで水野研究室を選びました。溝口研究室も同じ理由で選びました。研究や制作の内容ももちろん大事だけど、人柄や相性で選んでもよいのではないでしょうか。
6月中旬に水野先生の矢田ギャラリーでの展示を見た時に、こんなマニアックな分野をやっている人もいて、芸工って幅広いなぁって改めて感じました。だから学生が迷うのかも。
学生時代に思ったのは、早いうちにやりたいこと、専門を見つけられた人はラッキーだなぁということ。私は見つけられなかったので、そういう人たちがうらやましかったです。
—オープントークにも参加いただきありがとうございました。現役生へのアドバイスや感想を教えてください。
学生のうちは動きやすく、出会った人がその後の人生ずっとつながることもあるので、
学外に飛び出して色々な人やものに貧欲に会いにいってほしいと思います。
違う大学の講義を聴きにいってもいいですね。オープントークへの参加は緊張しましたが、
自分の仕事を学生に知ってもらうことは大切で、すごくいい経験をさせてもらいました。
普段そんなに大学生と喋る機会もないので楽しかったです。
リアルな声を聞くことが就職活動をする上でのヒントになれば、参加者としては嬉しいです。
発表者の卒業生の中には自分も知らない人が多かったので、仕事の話を聞くのは新鮮でした。
—島さんにとってやりがいとはなんですか?
おもしろさを追求するということが生きるモットーです。
そこに貪欲で、おもしろいものを見たら誰かに伝えたくてしかたないんです。
会わないはずの人と人をものを通して結びつけられる。
福祉の世界であるけれど、おしゃれな雑貨店に負けないグッズができ、
またそれが売れると、親、本人、友人が喜ぶ。そこにやりがいを感じます。
インタビューワ 山下 咲衣子
13期生(平成20年度入学)デザイン情報学科
プロダクトデザイン志望
―インタビューの感想―
まさに大学で学んだことがそのまま生かされているのだろうなと感じました。
外に出て、自分から出会いを見つけにいくということは大切であると思いました。
Vol5. 2010年5月 小川 直茂さん 芸術工学部1期生
岐阜市立女子短期大学 講師
小川 直茂さん
1期生 視覚情報デザイン学科 平成11年度卒業
大学院芸術工学研究科博士前期課程 平成13年度修了
—講師になるまでの流れを教えてください。
2002年に名古屋市立大学大学院博士前期課程修了後、中日新聞社の編集局デザイン課で新聞紙面におけるデザイン制作に携わりました。約5年の勤務を経て同社を退職後、大阪大学大学院に入学し、2009年4月から岐阜市立女子短期大学生活デザイン学科で教員として働いています。
科目としては、主にグラフィックデザイン系の演習や「色彩学」、「基礎造形」などを担当しています。基礎造形では烏口とアクリルガッシュを使って線や面、幾何形態などを描く課題を出します。芸工で言うとデザインストロークのようなものですね。一見単純なトレーニングですが、意外とデザインの資質が見えるんです。まっすぐかすれずに線をひけるか、はみ出さずに色を塗れるか、というのはセンスや才能以前に、課題に取り組む姿勢の問題。しかし、実はそれが馬鹿にできません。この課題に丁寧に取り組める学生は、実践的なデザイン課題においてもきちんとした成果を仕上げてくる。逆に雑な作品ばかり作っている学生は、その後自分の専門分野の課題に取り組む際にも、今一歩デザインが突き詰められないようにみえます。デザインでは、才能のあるなしに関わらず、まずきちんと丁寧に仕事に取り組むことで相当高い水準に到達できるはずで、センスや才能はその先にあるのではないでしょうか。
—中日新聞社の仕事はどのようなことをされていましたか?
また、もう一度学生に戻ろうと思った理由はなんですか?
中日新聞社の編集局デザイン課は、元々は「図案課」という名前で、
記者の依頼に合わせて地図やグラフなどの視覚的な部品を制作する部署でした。
そのため、たとえば新聞紙面全体のデザイン性といった統括的な視点での発言ができるとは
なかなか言いがたい立場にありました。
僕自身は「デザインは部品をつくるためのものではない」という考えを持っていましたから、
編集局に対して、新聞づくりにおけるデザインの有効性やデザインの総合力を説き、
社内でのデザインに対する意識を高めるように努めました。
その後、紙面で連載される時評の挿絵を3年ほど担当したのですが、その仕事をきっかけとして、
紙面全体のレイアウト等についてもデザイン面での意見を出していけるようになりました。
芸術工学部を卒業した人間の責務として、デザインの先端領域のみならず、
これまでデザインにさほど強い認識を示してこなかった業界に対して、
デザインの可能性を具体的に示すことが挙げられると僕は考えています。
情報を視覚的に表現し、読者に分かりやすくデザインするという
中日新聞社の仕事はとてもやり甲斐のあるものでしたが、
一方で新聞という枠組みを超えた取り組みにはなかなかチャレンジできませんでした。
デザインでやれることがまだ他にもあるのではないか、その見識を広げるために
再度勉強したいと思い、新聞社を退職して大阪大学大学院に入学しました。
—デザインに関する意識改革が必要な分野は多くあるのでしょうね。
学生時代に興味のあった分野、専門は何ですか?
特定の分野に的を絞って他分野に関心を示さないのは芸術工学部の理念にそぐわないと考えていたので、色々な分野をまんべんなくつまみ食いすることを意識的に行っていました。ただ、どうも器用貧乏になりそうでしたので、しっかりとした芯が必要だと感じ、名市大の大学院では川崎先生の研究室で2年間じっくりと勉強させていただきました。
僕が在籍していた当時の芸術工学部のカリキュラムですが、1年次に絵画や彫刻などを通して基礎能力を修得し、2年次と3年次の前期まではグラフィック・映像・情報工学・建築・都市景観など様々な分野の講義や課題に取り組みました。最終的に専門分野を決定したのが3年次の後期終了後。このタイミングはさすがに少々遅かったようで、就職活動の際にも、
専門的な知識や技術についてのトレーニング不足が課題として浮上してきました。
今では2年次から専門分野を決めて集中的に取り組める形になったようですね。
これは確かに良い面もあるのですが、逆にもったいないと思うこともあります。
一分野に特化して学習する環境が確立してしまうと、時折、芸術工学部が本来備えている
「器の広さ」を有効に活用できない事態が発生してしまう。
芸術工学部には多くの専門分野を横断的に学べる環境があるのだから、
周りに目を向けて、芯を持ちつつ積極的に幅を広げていってもよいと思います。
とはいえ、専門性と総合性の両方を身につけられる「完璧なカリキュラム」をシステムとして
構築することは難しいので、理想の実現には学生の
自主的かつ積極的な取り組みが欠かせないでしょうね。
―芯があり幅広いっていいですね。
小川さんは多くのことを学ばれていますよね。
その中でも特にやりたいデザインとは何ですか?
学生時代はとにかく色んなことをやりました。
現在、特に興味を持って取り組んでいるのはコミュニケーションデザインです。
何をデザインするにしても、モノと人との間に発生する対話や、
モノを通じて人と人との間に発生する対話を無視することはできません。
その対話、つまりコミュニケーションをいかにデザインするかについて
研究と制作の両面から考えていきたいです。
大阪大学大学院では、川崎先生が「いのちと向き合うデザイン」をテーマに掲げており、
僕自身もその場で先生が取り組む複数のデザイン研究プロジェクトに関わりました。
そこで得た経験と、川崎先生が提唱された理念が、今の僕の活動の規範になっています。
たとえば医療の現場において、不透明な情報や分かりにくい情報があることにより、
医療全般に対して怖さや不安を感じることがありますが、それを緩和して解消するために、
デザインで何ができるのかを考え、提案していきたいと思っています。
—ホームページを拝見したのですが、
小川さんは多くの作品を制作されていますよね。
また、コンペにもよく出されているようですが?
コンペは、自分の得意・不得意な部分を確認したり、プレゼンのスキルを向上させたり、
実践的な能力を高めることができるので、学生達には積極的に応募するように言っています。
やるたびに力がつきます。そのうち、ただ与えられたテーマについて考えるのではなく、
なぜそのテーマを設定したのかといった背景や社会的状況までも深く考察しながら
戦略的にデザインすることができるようになります。
この経験は、応募作品のクオリティ云々以上に、
将来デザイナーとして社会に出て仕事をする際にも非常に大事だと思うんです。
単に言われた要求に応えるだけではなく、なぜそのデザインが必要なのか、
そのデザインによって何を実現し、どんな未来を拓くのか、
というところまで考えを突き詰めなければ、良いものにはなりませんから。
—深く考えるということが重要なのですね。
就職活動の際、ポートフォリオをどのように作っていけばよいですか?
名市大は、これまでの先生方のご指導の甲斐あって「コンセプトに強い大学」という評価を頂けていると思います。ですので、まずコンセプトの部分は外さないことですね。課題に対して何を問題と捉え、どう解決へと導いたか、それらを系統立てて整理し、短く明快な言葉で分かりやすく示すことが大切です。毎年、芸工の卒業制作展を拝見していますが、とにかく制作内容を一通り書き上げることに執心してしまって、見やすさにまで意識が向いてない人も時々見かけられます。
「どう伝えるか」という能力は、まだ伸ばす余地があるかな、と思います。
ポートフォリオに関して言えば、全般的に学生は情報を詰め込む傾向にあるので、
もっと思い切って構成に余裕を持たせたり、ページをめくることで読む人の意識を変えるなど、読まれ方のデザインにも配慮すると良いですね。
一度、作品の説明に必要な諸要素を徹底的に解体してみると、
詰め込み型とは別のまとめ方が見えてくるように思います。
—社会人になられたうえで、学生のうちにやっておくべきことは何ですか?
無茶をすることですね。失敗することを恐れないでほしい。
むしろ失敗すればするほど自分の身になると思ったほうが良いです。
岐阜で1年間、教育活動に従事してきましたが、
今の学生達はすぐに正解を聞きたがるし、
すごく効率的に答えにたどり着こうとするように感じます。
失敗や回り道を「ただの時間の無駄」だと考えている節があるんです。
まず自分で考えなさい、実際にやってみなさいと言っていますが、なかなか直らないですね。
頭や手を使わずに聞きかじっただけの情報は、価値としては希薄で、
せいぜいその場を切り抜けるぐらいの役にしか立ちません。
それに比べて、何らかの失敗を実際に経験して「なぜ失敗したのか」を身をもって理解できれば、
その経験を発展的に応用して別の事例に対応することも出来る訳です。
そういう意味で、たくさん失敗してください。
また、周りと積極的に触れ合い、刺激し合うことも大切です。
大学は、自分とは異なる考え方や価値観を持つ友達や、経験豊かな先生方から、
色々な情報を引き出して自分の中に取り込める環境なんですね。
一度聞いたこと、知ったことは、一時忘れることはあっても決して消えてなくならない。
いつか自分にとって必要になった時にパッと出てきて、
「あ、あの時こういうことがあった」となるものです。
とにかく学生時代は、周りからたくさん吸収し、たくさん失敗し、
体当たりで自分を成長させていくことが大切です。
—芸術工学としてのデザインとはなんですか?
一つの視点にとらわれず、総合性を備えたモノづくりへの取り組みだと思っています。
初代学部長である柳澤先生が、僕達一期生に対して「芸術と工学は、
その成り立ちもスタンスも大きく異なる。
芸術工学部が目指すのは芸術と工学の融合ではなく、調和である。
そのハーモニーによって生まれる新たな未来に期待したい」とおっしゃっていました。
自分が学んだ様々な分野の知識や経験、それらが混ざり合うことなく、
各々の個性を保ちながらも調和し合い、化学反応を起こしていくこと。
それが、芸術工学としてのデザイン、つまり『総合デザイナー』なのではないかと考えています。
そして、目指すところは、やはり人間の社会や生活を真の意味で豊かにすること。
デザインは、理想をただの言葉でなく、モノやコトといった具体的なかたちで
示すことができる仕事です。
芸術工学部で学んだ身として、そういったデザインの可能性を次世代の学生達に少しでも
伝えることができれば、という思いで、今の仕事に取り組んでいます。
インタビューワ 山下 咲衣子
13期生(平成20年度入学)デザイン情報学科
プロダクトデザイン志望―インタビューの感想―
一期生の当時のお話は、とても興味深く楽しかったです。
基礎造形は本当に大切だと感じました。作業をする際に気をつけていきたいです。
Vol3. 2010年3月 鈴木 多恵さん 芸術工学部6期生
インテリアアドバイザー
IDC大塚家具鈴木多恵
6期生 生活環境デザイン学科 平成16年度卒業
山口良臣 研究室
—仕事内容を教えてください。
大塚家具でインテリアアドバイザーとして働いています。現在は営業社員のフォローに入り、新築物件のカーテンや照明の提案を主にしています。お客様のご要望や予算を伺い、図面を見ながら、その人その家に一番合ったインテリアを提案します。実際に現場まで伺って打ち合わせをする事も多いです。
入社後3年間は営業の部署で家具の営業をした後、よりインテリアの専門知識が必要となるカーテン・照明の部署に配属となりました。コーディネートの勉強はほぼ独学。実践で学びながらセンスを磨いて行かないといけません。
—仕事で大変だったことはなんですか?
結果を求められるので、年次が上がるごとにノルマも上がります。なんでうまくいかないのだろうって落ち込むこともありますが、結果が伸び悩んでいる時こそ思い詰めず、やれることを最大限やるべきですね。私の場合は、季節のお手紙をこまめに出すなど、お客様に対して誠実に、命をかけるぐらい一生懸命に働くことを信念としてきました。
—芸工生は空間デザイナーになれますか?
空間デザイナーは建築出身の人が多いですね。
空間の設計や内装の設計を仕事にしたいなら建築系を出て、
就職活動ではデザイン事務所や内装設計の企業を受けるのがよいのではないでしょうか。
必要な技術としては建築士の知識・技術です。
デザイン情報からだと、例えば空間そのものをデザイン、
設計するという仕事にいきなり就くのは難しいと思いますが、
インテリアコーディネーターの仕事から入り、
仕事をしながら勉強してスキルアップすることは十分可能です。
—会社はどういった人間をほしがっているのですか?
別に特殊な人を求めている訳ではなく、質問をした時に的確に答えることができるような、一般常識やマナーを持っている事がなにより大事です。また、インテリア業界では女性は重宝されます。住宅関係の仕事は施主様の奥様と話すことが多く、その場合女性の方が感性が合うし、物腰が柔らかいので心を開きやすい。だから、長く働ける女性は必要とされます。結婚しても働いている女性も多くいますよ。
—今後のキャリアアップの目標は?
実は、私来月退職するんです(笑)。もともと、3年働いたら大学院に行こうと思っていたんですけど、楽しかったのでそのまま働き続けて5年。これからはより幅広い技術を身につけ、スキルアップしたいなと今は思っています。
転職のリミットは29歳と転職業界では言われていますが、技術職は別ではないのでしょうか。
社会は色々な人たちで成り立っていて多様な職業があるのですから、
自分のタイミングで自分なりに、やりたい事を探し、転職をしていけばよいと思います。
—就職活動はどうされましたか?
私は芸工時代、ものづくりやデザインについて学ぶ中で、
自分自身でものを創るより、今あるすぐれたものを使って、
居心地のよい素敵な空間を作る仕事に就きたいと思いました。
ひとつのものに集中してそれを掘り下げるよりも、
色んなものを組み合わせて作品にするほうが好きだと思ったから、大塚家具を選びました。
在学中から行きたい会社の先輩と連絡を取ったりしていました。
行きたい会社があるのならばどんな技術が必要なのか直接聞いてもいいかもしれません。
でも、ある技術がなければ入れないという会社はそうそうないのではないのでしょうか。
自分の強みなども考えておくといいですね。
—在学中の経験で役立ったことは?
精神力と多くの知識を得たことです。「知っている」ということはとても重要です。壁にある画家の絵を飾りたいとお客様がおっしゃった時に、その画家の話を広げられたら相手に信頼してもらえます。相手の話を理解するだけで、仕事の幅が広がりチャンスはぐっと増えますよ。
また、色彩検定2級を取得するなど、色を勉強してきたことは本当によかったと感じています。カーテンの色を考える時にも色合いの裏付けができるんですよ。例えば、木材の家具には差し色として緑色を提案し、茶色と緑色の組み合わせが木を連想させ、自然界にある配色なので親しみやすいですよね、など相手に分かりやすい説明ができるようになりました。
—相手と話す際、どのようなことに気をつけていますか?
好きな色やテイスト、ライフスタイルなど相手のことを積極的に聞くことです。
大切なのは聞き上手になること。聞かないとその人の求めるものがわからないですよね。
最初はうまくいかないことばかりでした。
自分が一生懸命説明したつもりでも、後日違う店で買われてしまったり。
しかし、その時々で相手の思いをちゃんと汲み取れていなかったと反省して、
そういう中で聞くことの大切さを実感しました。
真剣さが伝わることで心を動かし、逆に、自分本位な提案や、
そういった気持ちが少しでも伝われば心をつかみそこねる。
気をぬけない、人の心と付き合う仕事ですね。
—鈴木さんにとってデザインとはなんですか?
生活を豊かにしてくれるもの。
なくても生きていけるけど、あることで生活が豊かになり、より楽しくなるものですね。
デザインをうまく生活に取り入れることで、心が満たされ幸せになれるのではないでしょうか。
インタビューワ 山下 咲衣子
13期生(平成20年度入学)デザイン情報学科
プロダクトデザイン志望―インタビューの感想―
鈴木さんのお話を伺ってから考え方が変わりました。
人の話を聞くということは大切だと分かっていても、なぜ大切であるのか、ということがよくわかりました。
魅力的な話ばかりで、とても勉強になりました。
Vol1. 2010年2月 河瀬 智文さん 芸術工学部7期生
電動工具メーカー プロダクトデザイナー
株式会社マキタ河瀬智文
7期生 生活環境デザイン学科 平成17年度卒業
大坪牧人 研究室
-現在のお仕事は?
以前は自動車のアフターパーツやレーシングカーの制作会社にいたんですが、
去年転職して、今は電動工具のデザインをしています。
仕事内容はスタイリングはもちろんですが、
使い心地や使い勝手など、ユーザビリティを大切にして考えています。
例えば草刈り機の背負い心地を常に研究している人たちがいたりするんですよ。
企画、設計、生産技術など、いろんな人とチームを作りながらひとつの製品を作っています。
-どのように仕事を覚えましたか?
僕は中途採用だったので、入社1カ月後には「これできる?」といきなり仕事でしたが、仕事の基本的なノウハウは前職で少しは身についていたので、工具っていうもののデザインに慣れていきました。
機構や機能について設計者に尋ねたりと人から聞くことが多かったです。 会社の中での事は会社の人が一番やわかっているし、人から聞くと聞いたこと以上の情報が入ってきます。他社製品を見て勉強します。「こんなことしたい」と思えば、似た機能のものを探して勉強し、その上で自分ならこうしよう、と考えます。
-私は企画の仕事に興味があるのですが、企画をするにはどうすれば?
もちろん企画がしたいって言えばいいです。
ただ、商品を知らないとできないこともあると思います。
前職では提案することもありましたが、組織が大きくなってくると専門の人がいるので、
いきなり企画と言わず、営業や設計、デザインを経験してからでもいいのではないかと思います。
あとはタイミング。就職や仕事って結構、運が大事だと思います(笑)。
-就職活動のアドバイスをお願いします。
プロダクトデザインやるなら、まずカタチがつくれることが必要ですね。その上で、ちゃんとコミュニケーションができることが大切だと思います。質問の意図を理解していないとかはダメ。必要なことを聞き出したり、伝えたい事、自分はどんな事を考えているのかを確実に伝えられる技術を身につけてください。
就活の前に、どんどんインターンに参加した方がいいと思います。ポートフォリオや実習だけじゃなく、インターンのときに選考をする企業もこれから増えていくようです。気になる企業やデザイン事務所とかあれば積極的に問い合わせてみたらいいと思います。僕は企業のネームバリューにばかり気にして就活してたりしました(笑)。それはだめですね。
-学生のうちにしておくべきことは?
馬鹿をしておくべき!(笑)。
考えるのにもいい期間だし、会社に入ると選択肢が狭められたりするから、
いろいろやっておくといいと思います。
芸工は分野が広いから、違う分野のプレゼン聞きにいったりしてもいいし。
僕らのときは今みたいに卓展みたいなのが無かったので、
3、4年生になるとコンペに出したりしていました。
先輩の卒制の手伝いで、夜11時から作業したりもしましたね。
-学生のときと今とで、考え方は変わりましたか?
学生のころはメディアにいっぱい出てくるような華やかな個人のデザイナーに憧れていました。でも今はどちらかというと縁の下の力持ちというか、あまり人の目にはつかないけれど社会貢献ができるようなデザイナーになりたいと思っています。
今の会社で魅力だと感じるのは、いろんな部署の人とさまざまなものを作っていけるということ。組織としての力というものもありますしね。考え方だけではなく、作業の進め方も変わりました。やっぱり考えるところに時間をかけたいので、作る手法をどれだけ短縮できるかを工夫するようになりました。今なら学生のころ苦労したスピードシェイプも、デザイン含めて4日あれば作れると思います。
-河瀬さんにとってデザインとは?
難しいけど、人の心を熱くするものかな?
気持ちを動かすものなんだなとおもいます。
(って、川崎先生の受け売りみたいになっちゃってますけど(笑))
社会に出てみて、
デザイナーの地位が低い分野まだまだあると感じます。
戦略的にデザインをプロデュースしていきたい。
だから、これから「それで行こう」って言える立場になって、
自分の思うデザインができるようになりたいですね。
インタビュアー:山下 咲衣子
13期生(平成20年度入学)デザイン情報学科
プロダクトデザイン志望
―インタビューの感想―
プロダクトデザイナーを目指すにあたって、とても勉強になりました。
自分が今なにをやるべきなのかしっかり考えていきたいです。
とても楽しかったです。















